
商品説明
当金貨は、ネーデルラント連邦共和国(現オランダ)のユトレヒト州で、
1600〜1601年頃に発行された1ローズ・ノーブル金貨です。
現在のオランダやベルギーにあたる地域は「ネーデルラント(低い土地)」と呼ばれ、
農業、漁業、貿易、毛織物工業で栄えた、ヨーロッパ有数の豊かな土地でした。
15世紀には、フランス系のブルゴーニュ公のもとに各地の領邦が集められ、
その後、婚姻によってハプスブルク家の支配下に入ります。16世紀前半には、
神聖ローマ皇帝カール5世がこの地を治めました。ユトレヒトでは、
それまで司教が世俗の統治権を持っていましたが、1528年にこれをカール5世に
譲っています。
1556年、カール5世の後を継いだスペイン王フェリペ2世は、スペインを拠点に
ネーデルラントを治めました。重い課税と中央集権化を進め、プロテスタントを
厳しく取り締まったことで、自治と信仰を守ろうとする貴族や都市の反発を招きます。
1568年ごろに始まったこの戦いは、のちに八十年戦争と呼ばれる長い戦争になりました。
1579年、ユトレヒトの町で、ホラント、ゼーラント、ユトレヒト、ヘルダーラントなど
北部の諸州が「ユトレヒト同盟」を結びます。互いに助け合うことを約した同盟で、
のちにフリースラント、オーフェルアイセル、フローニンゲンも加わり、7つの州の
連合体になりました。1581年には、フェリペ2世を君主と認めないと宣言します。
君主を持たない国は、当時のヨーロッパでは珍しい存在でした。
この共和国では、各州が自らの議会で政治を行い、貨幣の発行も各州が行いました。
ユトレヒトは同盟を結んだ1579年にも、フェリペ2世の名を刻んだローズ・ノーブルを
発行しています。反旗を翻したあとも、この時点では貨幣に王の名が残っていました。
それが1600年前後の当コインでは、王の名の代わりに「ユトレヒト州の新金貨」と、
州の名が刻まれています。
ローズ・ノーブルは、もとはイングランドの金貨「ノーブル」の系統です。
表面には、剣と盾を手に船上に立つ王が描かれ、船体には大きなバラが刻まれています。
当コインはこのイングランドの金貨を手本にした「模倣型」の発行で、
ネーデルラント側がこの種の金貨を作った理由については、イングランドとの羊毛などの
取引に用いるためだったと説明されることがあります。
裏面には、十字の中心に八条の星があり、四隅には王冠とヒョウが配されています。
銘は「CONCORDIA RES PARVAE CRESCUNT」で、「和合すれば小さなものも栄える」
という意味です。ネーデルラント連邦共和国の標語としても知られる言葉です。
当金貨は、NGCではトップ3グレード、PCGSはMS63がトップグレードのため、
両鑑定サービス全体でトップ3グレードです。
小さな州が、強大な王の名を外し、自分たちの名で金貨を打ち出しました。
船に立つ王の図柄は手本のままに、銘だけが州の名に変わっています。
裏面には「和合すれば小さなものも栄える」という一句が刻まれています。
小さな州が自分たちの名で打ち出した一枚に、よく重なる言葉です。
当金貨をお勧めします。
商品仕様
| 発行国 | ユトレヒト(ネーデルラント連邦共和国(現オランダ)) |
|---|---|
| 発行年 | 1600年〜1601年 |
| 通貨単位 | 1ローズノーブル |
| 直径 | 36.00 mm |
| 重量 | 7.80 g |
| 構成 | 金 |
| 純度 | .958 |
| グレード | MS63 |
| 鑑定機関 | NGC |
| NGC証明書番号 | 6602369-003 |