
商品説明
当金貨は、イギリス王ジョージ3世(在位:1760年〜1820年)が同君連合の下
統治していたドイツ・ハノーファーに関連し、ナポレオン戦争終盤の1813年に
製作された5ターラー金貨のパターン(試鋳)金貨です。
ハノーファーは1714年、選帝侯ゲオルク・ルートヴィヒが英国王ジョージ1世として
即位したことにより英王家と結びつき、以後1837年まで同君連合のもと統治されました。
英国王家にとってハノーファーは、大陸における唯一の王朝的本拠地でした。
1803年、ナポレオン軍の侵攻によりハノーファーは占領下に置かれ、その後
フランス勢力下の体制に組み込まれました。しかし1813年、対仏大同盟軍が
ドイツ戦線で反攻を開始し、同年10月のライプツィヒの戦いにおけるナポレオン軍の
敗北を契機に、フランス支配は崩壊へ向かいます。
当金貨の発行は、まさにその歴史的転換期にあたり、現地造幣局(クラウスタール等)が
長期間機能停止状態にあったため、ロンドン造幣局において鋳造された特異な発行例と
考えられています。
通常の流通貨というよりも、ハノーファーの復興と正統支配の再確立を象徴する性格を
帯びた発行であり、同君連合期の中でも最も劇的な局面を体現する金貨といえるでしょう。
通常の流通を目的とした実用貨の範疇を超え、王権の回復と領邦の再興を内外に示す
象徴的意図を帯びた鋳造であったと考えられます。その製作は、占領下にあった
現地造幣局に代わり、当時世界最高水準の彫刻・鋳造技術を誇ったロンドン造幣局が
担いました。
さらに当金貨の意匠を手がけたのは、英国王室造幣局の首席彫刻官として活躍した
トーマス・ワイオン2世です(NGCラベル1813 TW=THOMAS WYON)。
ウナ&ライオンを手がけたウィリアム・ワイオンの兄、トーマス・ワイオンの息子です。
ウィリアム・ワイオンからすると甥に当たります。
ワイオン家は代々王室造幣局に仕えた名門彫刻家一族であり、トーマス・ワイオン2世は
その中でもナポレオン戦争期から摂政時代にかけて英国貨幣美術を代表する存在でした。
ワイオン家の系譜を引き継ぐ高い技術・能力と、トーマス・ワイオン2世がさらに高めた
技術・能力は、当金貨を王朝の威信と正統性を刻み込んだ記念的作品に高めています。
当金貨は、その通常の流通貨を記念的作品まで高めた金貨を製作・鋳造する前の
パターン(試鋳)金貨です(NGCラベル「KM-Pn4」参照)。
(NGCラベル「OFF-METAL STRIKE」はNGCの誤認と推定)
属性・素性・歴史的背景を備えたハノーファー5ターラー金貨の中でも、
当パターン(試鋳)金貨は、同君連合史上最大の転換点を物語る極めて特異な存在です。
王権の再興という歴史的瞬間を、王室彫刻官ワイオン家の技巧が封じ込めた当金貨は、
単なる収集対象を超え、王朝の記憶を今に伝える証左といえるでしょう。
当金貨をお勧めします。
商品仕様
| 発行国 | ロンドン(イギリス) |
|---|---|
| 発行年 | 1813年 |
| 通貨単位 | 5ターラー |
| 直径 | 23.00 mm |
| 重量 | 6.65 g |
| 構成 | 金 |
| 純度 | .896 |
| グレード | PF63CAMEO |
| 鑑定機関 | NGC |
| NGC証明書番号 | 1639780-003 |